「一成さん。」

「何?」

「一成さんは何をしてるんですか?」



不安になって一成さんを見つめ問う。

もしかして
嘘かもしれないって思ったから。

一成さんが
“お母さんの部下”と言った。

私はその真偽を確かめず
信用した。
確認はしていない。



「ゆきちゃんには秘密。」



ニコッと笑って
唇に人差し指を当てる一成さん。

秘密ってなんだろう。

それは言えないような事?



「…一成さん。」

「何?」

「嘘、つかないでくださいね?」



私は一成さんを真直ぐ見つめた。
一成さんも真直ぐ私を見つめる。

その瞳の奥が揺らいだ気がした。