君の虚実に恋してる

外はこんなに晴れているのに、気持ちばっかりはどうにも晴れない。


はあ。
このままどうなっちゃうのかな。





「オッス」


「おはよ」


隣にチャリが止まった。
ひろゆちだ。



「なんか元気なくね?」


出るわけない。


「ん。そんなことないよ」


「んならいーけど」



ひろゆちは気を使ってくれてるのかそれ以上の詮索はしないで、どうでもいい話題で笑わせてくれた。


いいやつだなあ。



と、思っていたら


「言いたくねえならいんだけどさ、昨日なんかあったんだろ?」


いきなり核心をつかれた。



でもひろゆちに隠すことでもないから頷く。


「そっか。部長?」


首を横に振る。






「…え、かっつさん?」


それは心底意外だ、とも言わんばかりの顔だった。


わたしだって口に出せば妄想にしか聞こえないけどさ…。




「なんかされたん?」


頷く。



「まさか…」


ひろゆちの顔が赤くなる。

こいつ…何考えて…





「ちょっ、ちが!違う!そういうのじゃない!」


「え、違うの?もう俺かっつさんつったらそういう関係して出てこなくて」



とんだ勘違いだ。
そんなことされてたまるか。



「んで、何されたって?」


「やだ。ひろゆちに言っても信じてもらえなさそうだし」


「信じるって!教えろよ~」


「これでも傷ついてるの!」










「…そんなら慰めてやるよ、俺が」










「さぶ。鳥肌たったわ」


「失礼なやつめ。さあ教えろ」


「なんか大嫌いって言われて撤回されてやっぱ嫌いって言われてちゅーされた」


早口でまくし立てる。
身に起こったことだけどなんか現実味がない。



「…え?」


ぽかんとするひろゆち。

やっぱ信じてくれないじゃん。




「夢じゃなきゃまじだから」


「夢じゃ駄目だろ」


夢の方が良かったけどね。
わたしだってかっつ先輩と仲良くなりたかったし。





「じゃなくて、俺が言いたいのはそういうことじゃなくて…」



そこで丁度ひろゆちが使っている駐輪場の手前まで来てしまったので、チャリを停めてから続きを聞くことにした。