君の虚実に恋してる



頭が真っ白になった。
後頭部を支えられて離れようがない。

すっと先輩が離れていった。






----バシッ


咄嗟に手が出てしまった。


かっつ先輩は唇の端をべろりと舐めた。
人って殴るとき手も痛くなると言うけど本当に痛いんだ。
殴ってわかった。


「馬鹿にしないでください!」


この場所にいたくなくてどこか、先輩のいないどこかに行きたかった。


そうしてわたしは走って逃げる。
先輩は何とも言えない無表情でぴくりとも動かなかった。


最悪だ。