「それに、真由の携帯のアドレス帳にも晋で登録されてるんだ。間違いない」
「そんな…」
「信じられないよな!…ごめん変な話して」
部長、無理してる。
空元気な様子が切ない。
どうにかしてあげたい。
どうせ誤解だろうし…。
「わたし、かっつ先輩に確認して…!」
「駄目だ!」
聞いたことのない声だった。
空気がビリビリ痺れた。
いつものほほんとして爽やかな部長が必死になっているのを初めて見た。
真由さんの存在がいかに大きいかというのがわかる。
「ごめん…大声出して…」
「わたしも、ごめんなさい…」
でもどうして?
そんなに好きなら信じればいいのに。
きっと何もないよ、部長。
確認しないと疑いは晴れないよ?
「本当だったらこわいんだ」
誰が部長の裏切るの?
真由さんだって部長よりかっつ先輩をとるなんて…そんなこと。
それよりも真由さんで心がいっぱいな部長が憎らしく思えてきた。
わたしだって、部長のこと…。
部長が真由さんを思うくらいにわたしだって部長が好きだ。
何も知らないのは罪だ。
部長はわたしを傷つける。
わたしだって部長を困らせてみたい。
わたしのことで悩んで欲しい。
そんなの困った願いなのかな。
でもわたしは…。
強く息を吐いて、吸った。
「わたし、部長が好きです」
鳩が豆鉄砲をくらう。
間抜けな顔です、部長。
