「優雨!見てよ!」
私は上を見上げながら言う。
「うん?」
優雨も上を見上げた。
「すげぇ…」
昼間から雲一つない快晴だった空には幾つもの星が瞬いていた。海の潮騒と星の光の瞬きが私達を包んでいた。
「沙紀、さっきの話、オレ感動しちゃったよ。沙紀ってやっぱすげぇよ。オレも見習わなきゃな」
優雨は少し間を置いて言った。
「沙紀の話聞けて嬉しかった。ありがとな。仕事も良いけどたまには愚痴ったりもしなきゃダメだぞ。もし何か困ったこととか相談があったら…いつでもオレに言えよ?」
優雨は真っ直ぐ私を見て言う。星空と月の光と海の反射に照らされて、優雨が青く浮かぶ。
「ありがと。」
「沙紀ってほっとけないって言うか…支えたくなるんだよな。これからもオレで良かったら、よろしくな!」
「こちらこそよろしくね!しっかり私を支えてよ!」
私は笑いながら海を見る。
「沙紀…」
「ん?」
私は優雨に名前を呼ばれ、横を向くと、優雨の顔が目の前にあった。
「…オレ」
「…え…」
優雨の顔が更に近付き、顔を傾けたと思うと、唇に柔らかいものが触れる。私は途端に心臓の鼓動が早くなる。優雨に聞こえてるかもしれない鼓動の音。その時間はとても長く感じた。