365回の軌跡

私は帰り支度を終えると、オフィスの電気を消し、施錠した。家までは約15分。自転車で通勤している。今日の夕飯の心配をしかけて、昨日の残りがあることを思い出し、自転車にまたがる。
達也との出会った場面を思い出した。友達の麻耶、遥に食事に誘われ、レストランへ向かった。二人は私と同郷の中学のクラスメートで、同じ東京に出てきた仲。時々会って遊んだりしていた。
「沙紀～遅いよ、こっちこっち！」
麻耶に手を振られて、着いた席には見知らぬ三人の男がいた。私がいつまでも恋というものをしないのに、業を煮やした友人達がこっそり企画したのだ。私はもちろん良い気分ではなかったけど、一人の男性が気になった。それが達也だった。