視聴覚室はとにかく暗くて何があるかわからなかった。 「キャッ!」 さゆの細い手がぼくのシャツをくしゅっと掴んだ。 「だ、大丈夫!?どしたん?」 「足になにか引っ掛かったみたい」 さゆりの泣きそうな声が本当に可愛かった。 「はやく電気つけよっか」 ぼくは行き場を失っていたさゆりの手を掴んだ。 そして二人で壁に手を当てながら電気のスイッチを探した。 「あった」(パチッ) そして二人とも片手でダンボールを持って教室に戻った。 そう、もう片方の手は教室に戻るまでは、ずっと繋がれたままだった。