どんな顔で言ってるのか知りたくて、遥か上に有る野久保さんの顔を見上げてみたら、真っ赤だった……。


まるで、初恋の女子に告白する男の子みたいに。


「少し、考えてもいいですか?」


「えっ…あっ…はい!よいで?」


完全テンパッてるし……。


私の手に、野久保さんのドキドキが伝わってくる。


車の中で、考えていた。


正直、断るつもりの半ば嫌々ここに来たのに…。


でも、僅かな時間しか知らないこの人に何故かときめいてる。


あんなに最悪だと思っていたコイツに……。


10歳も年上のこのオッサンに…。


一人悶々と考えるその横で、一人ボケ・ツッコミしながら笑うアイツ…。