このままでは絞め殺されてしまう。
ドルメックは痛みと薄れる意識の中、必死に頭を巡らす。
浮かんできたのは母親に教えてもらった核石の魔力の引き出し方。
「核石と魔力は、例えるなら膨らんだ風船ね。
核石が風船自体で、魔力が中の空気」
そう言って実際に風船を使って説明してくれた。
「中の空気を外に出して使うには、空気の出入口を開けなければいけないでしょう?
でも、目一杯膨らんだ風船はちょっと口を開けただけで一気に空気が抜けてしまうわよね?」
目の前に掲げた風船の口を開いて見せる。
勢い良く空気が抜け、そのまま萎んでしまった。
「実際には、ここで抜け出しているのは魔力。
ちょっとでも調整を間違えると、取り返しのつかないことになるわ。
核石にしっかりと意識を集中して、必要以上に魔力を引き出さないように注意して」
母親は萎んだ風船に再び空気を入れて、目の前に差し出した。
「私達の身に宿している核石なら、こんな風に時間が経てば魔力は回復してくるけど、身体にも精神的にもダメージは大きいわ。
それに、魔力が制御出来なくて全ての魔力を使い切ってしまったら、核石は原型を留めておけず砕けてしまう。
この意味は解っているでしょう?
とても危険な力なの。
出来る限り、この力は使わないでね」
懐かしい幼い日の記憶。
これを走馬灯にしない為には、今この力を解放するしかない。
〔Gスネーク〕に締め上げられながらも、核石に意識を集中しようと試みる。
しかし、身体に走る痛みと、呼吸が出来ず酸素が欠乏したこの状況では中々上手く集中出来ない。
(せめて…、もう少し締め付ける力が緩めば…)

