草原の中、それは、そこに立ち止まりこちらを見ていた。




風を孕み、草を揺らす…。




その姿は凜として、澱みのないものであった。















「あれが…風のピューマ?」


パンパスの第一声はそうだった。


そして、それに長老は、小さく頷くのだった。


初めて対峙した風のピューマの姿に、パンパスはそれ以上の言葉を失っていた。


しかし、それは、初めての出会いという訳ではなかった。


風のピューマはいつでも草原におり、風のピューマはいつでもパンパスを見ていた。


風のピューマは風と戯れ、風のピューマはパンパスを待っていた。


そう、ただパンパスが気付かなかっただけ…。