私の涙がようやく止まるころ、神様がもらい泣きしてしまったのか、空から雫が降ってきた。

雨は、最初の内はまばらなものだったが、どんどん強くなってきた。


「雨、降ってきた」

「え!? あんた歩きなんでしょ、大丈夫?」

「うん。あんまり気は進まないけど、バスか何かに乗って帰る」

「そっか」

「あの…恭子?」

「何、どしたの?」


2人の間に一瞬の沈黙が生まる。


「今日は本当に、ありがとう」

「何でためを作ったのよ。そんなの当たり前じゃない。困った時はお互い様よ」

「お互い様…そうだね。じゃあ明日泊まりにいくから」

「モチおっけい。明日はご馳走作ってあげる。それより雨で風邪ひくなよー」

「全然大丈夫。それじゃ…」

「また明日ね、バイバーイ」


プツ、と私と恭子を繋いでいたものが途切れる音。

残ったのは、静かな公園の土を雨が弾く音だけだった。

『お互い様…』

恭子の声が蘇る。

私は恭子に何かお返しができているのだろうか。

一方的に頼って、寄りかかってばかりなのではないだろうか。

私は電話を終え、待ち受けが表示された携帯を黙って見つめる。

数日前までは彼とのプリクラだったが、今はキティちゃんの待ち受けに変えてしまっていた。


明日は恭子にちゃんとお礼しなきゃ。

言葉だけじゃない、お礼を。