しかし、だった。

私の、彼と共にありたいという想いは彼の想いと交わることはなかった。

つい前日までデートをしていたというのに、私はいきなり振られたのだ。

夜に電話が来て、彼はただ一言。


「もう一緒にはいれない…って」


私は目を擦りながら、やっとのことで恭子に事情を説明した。

恭子は終始小さな相槌を打ちながら、私の話を黙って聞いてくれた。

私は何だかもう歩く気になれなくて、目の前にあった公園にふらふらと入った。


「そっか、いきなりそんな風に言われたらどうしたらいいかわからないよね。酷い!」


恭子は、グッと拳を握る音が聞こえそうな勢いでそう言った。

私はベンチにそっと腰掛けて頷いた。

頷いただけで言葉は発していないので、恭子には実質返事は届いていないことになるが

恭子はそれを感じ取ってくれる。


「男なら自分の彼女くらい最後まで責任持って欲しいよね。いきなりポイッて手を離すなんて無責任すぎるよ」

「うん…」

「そんな奴忘れちゃいなよ。むしろ結婚する前に別れて正解だって」

「そう、かな」

「絶対そうよ。明日あたり泊まりに来なさいよ。そんな奴の代わりに私が抱きしめてあげるから」