そして翌日。十二月四日。



修たちは東京駅に来ていた。学校をサボって抜けてきた。もちろん制服ではなく私服だ。



「もし、何かあったら勇さんがいいフォローをしてやり過ごして下さいね。私たちでは相手になりませんから」



愛理が突き放すように修に話す。相変わらず敵意があるような目でこちらを見ている。それを沙良がたしなめる。



「愛理もね。ただでさえ目立つんだから…」



沙良の指摘で愛理の顔が引きつった。



「なっ!私のどこが目立つと言うの沙良さん!?」




沙良が大きな溜め息をついた。




愛理は比較的地味な服装をしている沙良とはまったく正反対な服装だ。白のダッフルコートに黄色のキャリーケース。寒色をまったく使わっていない。



「後、あまり喧嘩口調にならないようにね。大声を上げると余計目立つからね」




「分かってますわ。それくらいは心得てますから」




二人のやりとりが終わったところを見計らって修が二人に声をかける。



「さあ、新幹線チケットを買って早く移動しよう。ここは寒いからね」