修は丁寧にコーヒーの入ったカップを二人の前に置く。沙良は苦笑いを浮かべて、もう一人の少女――沙良と同じ制服を来た――愛理はムスッとした態度を崩さない。




「あなたが沙良さんと一緒に岸野さんを探す探偵ですか?」




愛理は態度を変えず仏頂面のまま修に質問する。修は恐る恐る頷いた。



「はい。岸野明日香さん捜索を承っている遠野勇です」



修は愛理に名刺を渡す。愛理はそれを見て、仏頂面のまま話だす。



「私は松本愛理。早速本題に入らさせてもらいます」




話のイニシアチブを渡そうとしない愛理。連れてきた沙良は苦笑いを浮かべるしかできない。




「私も沙良さんと一緒に連れていって欲しいのです。理由はあなたを監視するためです。若い男女が二人っきりでなんて不純です!」



そう言って愛理はコーヒーをすする。よほど飲み慣れているのか、ブラックのまま飲んでいる。




「愛理、やっぱ迷惑だよ……。それに勇さんを変態扱いしちゃ駄目だよ」




沙良は修に一度頭を下げる。しかし、愛理は反省する気はないらしい。