アナタハシニマシタ２

沙良は苦笑した｡彼女は負けず嫌いなだけだ｡だから素直に負けを認めることが出来なかったのだろう｡ライバルである明日香が不在の今､学年トップを取れなかったのは屈辱しかない｡


｢ねえ｡何で私と岸野さんが繋がってると思ったの？｣



｢私はただあなたが急に成績を上げたのが気になって､もしかしたら岸野さんに勉強を教わったのだろうと思っただけよ｣



ついに沙良は耐えきれず吹き出してしまった｡それを見た松本は怒った顔をする｡



｢何がおかしいの！？｣



｢だって松本さん面白いから！ふふふっ！最初は取っ付きにくい人かと思ったけど､いい人そうで良かった！｣




満面の笑顔を向けられた松本はどうしたらいいのかしどろもどろになる｡




｢もう私たち友達だよね？｣



｢あなたがそう思うなら友達になってもいいわよ｣




あくまでも凛とした態度まで崩そうとしない松本｡表情は先程から目まぐるしく変わっているのに｡




｢分かった｡じゃあ友達ね｡松本さん｣



｢松本は他人行儀でしょ？私には愛理という名前があるわ｡友達なら名前で呼んでもらわないと｣


そう言って沙良はがっちりと愛理と握手をした｡愛理はどこか恥ずかしそうだった｡