アナタハシニマシタ2

「すげえ……。川崎ってここまで勉強できたっけ?」



解答用紙を見に来るクラスメートが次々に感嘆を漏らす。沙良はそこまで勉強ができるイメージではなかった。



「あんた。なんかやってるの?塾?それともあの雑誌の後ろに載ってる変な勉強法?」



「そんなんじゃないよ。ほら、うちのコンビニでたちの悪い客がいなくなってやっと落ち着いて何かに取り組めるようになったのよ。今までそれに割いていた分を勉強に回しただけ」



謙遜気味に沙良が言うが、周りはやはり感嘆しか出てこない。実際時間が割けたとしても勉強に回すという考えがやはりすごいと感じたからだ。



「じゃあ、沙良。あんたまさか……!」



そう言ってクラスメートが再び彼女の机をあさり始める。目的は他の科目の解答用紙だ。次々と出てくる高得点の解答。一番出来の良かった国語は満点。一番低い科学でさえ九十一点。文句無しの学年トップクラスの点数だ。



「あり得ない……。この前の期末まで私と同じくらいだった沙良が急に別人のようになっていく……」



その場にペタンと座り込むクラスメート。他のクラスメートが前回のテストの結果を聞いてまた驚愕。前回はほとんど赤点付近だったという。順位も下から数えるほうが圧倒的に早い。それを考えると驚きの大躍進だった。



「ほら。全員席に着け。今から数学テスト返すぞ」



いつの間にか次の授業の時間になっていたらしい。数学の担当教師が教卓にプリントの山――テストの解答用紙を教卓に置く。