「…なんだよ」 笑ったあたしにムッとしたのか、眉を曲げて聞いてくる。 「や、なんも…」 この人を怒らせたら、やたら怖いだろう。 「…てかあんた何者?」 「…あ?」 唐突に投げ掛けられた質問に、タバコを口にくわえようとしていた手を止め、あたしを見る。 「だ、だって、さっき逃げて行った男の人に"龍斗さん"って呼ばれてたじゃん!」 しかもビビった様子で。 「…俺、有名だもん」 「…あ、そ」 それ以上、ツッこまなかった。