「金っつっても30万くらいしか無くてさ。兄貴は何考えたのか族とか立ち上げるし。まあ元々そっちの繋がりはあったんだけど」
「…家賃とか食費とかの生活費は?」
「毎月10万、振り込まれてる。けど、家賃6万。残りで生活費が払えるわけがない」
そりゃそうだよね。
食費に水道代、ガス代、光熱費…4万じゃ足りないだろう。
「俺は中学生だし、まともな仕事なんてできねえし。兄貴はとりあえずバイトしてるけどそんなになんねえし」
「…」
「高校はもちろん行かないつもりだったけど、兄貴に入れって言われるし。いつか役に立つとか言って。学費くらい自分でどうにかしようと思った」
「それでこんな事を…?」
「あぁ。中3の頃、兄貴の友達に誘われて。ヤったら金くれるっつーからさ」
ははは…と空笑いする龍斗は、とても痛々しい。
「それからもうやめられなくなった。金が入れば自由に遊べるし、生活費の足しにもなる。高校にも行ける」
いきなりベッドからガバッと起き上がり、タバコに火を付ける。
すーっと煙が上に行く。
それを見ながら、
「金って怖いよなー」
って呟いた。
