「もっと自分大切にして…。傷付くのは、間違い無く龍斗だよ?」
「…俺のために」
「え?」
「なんで俺なんかのために泣くんだよ…」
ぎゅっ―…
龍斗が力を込めてあたしを抱きしめる。
「俺を振り回してんの、お前だろーが…」
「ごめん…」
「ホント調子狂う」
「ごめん…」
「抱きしめられて気ぃ抜けるし、窓からお前見えたから客捨てて助けるし、さっきお前と目ぇ合って逸らされてからなんかイラつくし」
「龍斗、」
「ホント、意味分かんねぇ、俺…」
あたしを抱きしめてた腕の力が弱まる。
龍斗は頭の横に両手をついて、あたしを見下ろした。
「泣くなよ、もう」
そう言うと、片方の手で涙を拭いてくれる。
龍斗の目はさっきと違い、いつもの目に戻っていた。
「怖かったよな」
「も、平気」
「キス、していい?」
「…へ!?」
あたしの答えなんて聞かず、口は塞がれていた。
