「ごめん、だけど…」


「ちょっと来い」


ぐいっと手を引っ張られて、さっきの人と入って行ったホテルに入る。




「ちょっと…やめてよ、あたし帰る!」


「…黙れ」


「…っ!」


人生で初めてこんな低い声を聞いた。


本気で怒らせてしまったかもしれない。


恐怖で頭が真っ白になる。



「ちょっ龍斗!その女誰よ!」


そんな時、ホテルでさっきの人とすれ違ってしまった。



「最低。あたしを断っといて別の女とヤるわけ?」


「あの、あたし違っ…」


「そーだよ。わりいけど、お前とは最後。最初から言ってたよな、ただの金稼ぎだって」


「…っ!分かってるわよ!」


ちょっと待ってよ。

話しが全く読めないよ…。


「飼ってくれてどーも」


「"買って"の間違いじゃない?」


くすっと笑う女の人。

よくみれば、アクセサリーやらバッグやら、ブランド品ばかりだ。


「そーだな」


「まーいいわ。楽しかったし。またあった時は"飼って"あげる。じゃーね」



女の人はカツカツとヒールを響かせて、歩いて行った。