「バカなのはお前だ」


「……っ!」


「また昨日のバカ共に絡まれてるお前がバカだ」


「…なん、で」


男たちの後ろには、龍斗が立っていた。




「お前コイツに手ぇ出したら消すよ?コイツに触れていいの、俺だけだから」


「……す、すみません!」


男たちはまたビビって逃げて行った。




「そういう事、言わないでよ」


「あ?」


助けてくれたお礼を言わなくちゃいけないのに。


口から出た言葉は、頭を裏切った。




「あたしに触れていいのは龍斗だけとか、その場しのぎでも言わないでよ!」


「…お前、」


「いいじゃん。さっきの人を大事にしてあげれば。優しく抱けばいいでしょ?助けてくれたのはありがとう。でも振り回さないでよ!」


最低だ、あたし。

あたしが勝手に後つけてきて。
勝手に絡まれて、勝手に怒って。


なのに龍斗に怒ってて。


自分自身が情けなくて涙が出る。