「…これも美味しそう。次来たらこれにしよっ」


優美ちゃんはメニューを見ながら独り言を言っている。


…ちょっとおもしろい。



あたしはまた外を眺める。



街中だけあって、人通りは多い。


この時間だと、学校帰りのカップルが目立っている。



恋、ねえ…。

あたしには遠い遠いお話だなあ…。


そんな事を考えていると、ふと、窓の外に見たことのある人物が写った。




「…龍斗?」


「ん?」


「ね、ほら優美ちゃん。あそこに龍斗がいる…」


「ホントだ…」


向かいのアクセサリーショップから出てきた、龍斗と年上っぽい女の人。


優美ちゃんがさっきみた龍斗は、どうやら見間違いじゃなかったみたい。