「ほらよっ」 「…っ」 バイクの前に行くと、神山龍斗がピンクのヘルメットをあたしに投げてきた。 「被らねぇと頭打つぞ」 「…は、はい」 頭打っちゃうような運転をするの!? …気が狂いそう…。 「乗ったか?」 「な、なんとか…」 やっとの思いでバイクに跨がる。 「俺の腰に手ぇ回して。絶対離すなよ」 ブロロロ―… 威勢のいいエンジン音が鳴り響く。 「行くぞ」 あたしの返事など聞かず、勢いよく走り出した。