「誰が運転するの?」


ざわついたホテル街を歩きながら、会話を続ける。



「俺」


「へぇ、俺………ってあなたが!?」


「うん」


いやいや待って!


「免許は?」


「あるわけねぇだろ、バカ」


「いやいやいやいや、バカなのはあなたでしょ!」


無免許運転?
勘弁してください…

涙が出そうだよ、ホント。




「誰がバカだと?」


「だからあなたが…」


やばい。
やばいやばいやばい!


神山龍斗が、眉間にシワを寄せ、立ち止まる。



「…俺にそんな口たたいたやつ、初めてだ」


「ひぃっ…すみません!」


「いや、怒ってないけど」


何事も無かったように、再び歩きだす。