「行くぞ」
電話を終えた神山龍斗が、あたしをまたグイッと引っ張る。
「ちょっ…行くってどこに?」
「はあ?お前家に帰るんだろ?」
「は、はあ…」
いや、確かに帰りますけど。
「どうやって帰るの?」
「何寝ぼけたこと言ってんだよ。さっききいただろ?車とバイクどっちがいいか」
「…ああ、さっきの……」
へぇ、あれ、帰りの手段を聞いて……
「えぇぇぇぇ!?バイクで帰るの!?」
「だってお前がバイクって言っただろーが」
「いや、それはですね、何と言うか…」
「今更遅えよ?」
「……すみません」
どうやらあたしには選択肢が無いようだ。
