君に花を。

｢ほら、帰れ｣


｢…ねぇ、蓮｣


｢なんや？｣


｢あたし…のこと、嫌い？｣


嫌い。

なんて言えるはずがないだろ。本人目の前にして。


｢どうやろな。そんなことより、さっさと…｣


愛美はいきなり抱き着いてきて、俺はバランスを崩した。


愛美は俺の上に馬乗りになって、俯いた。


すると、俺の頬に雫が落ちた。愛美の涙が…ポタポタと。


｢まな…｣


｢あたしはね、幼なじみなんか…やりたくないんよ！｣


さっきより涙がこぼれ落ちる。


｢嫌やった。幼なじみとして傍にいることが。そう思われることがっ…あたし、蓮を追いかけてこっち来たんよ｣


愛美は泣きながら俺の胸倉をつかむ。