君に花を。

それから、何度やっても連敗だった。


「久々だから指の動き遅かったなぁ」


全然!むしろ、早過ぎ。

柚の手をじっと見つめた。どこに、あの速さ…隠し持ってるんやろ。


「ふぁ…」

「あ、もう遅いな。寝る?」

「うん」


結局、兄貴は邪魔しに来なかった。さっきは邪魔したくせに、なんや?

ちらっと扉のほうを見ても来る様子がない。


まっ、ええか。


「オカンは、もう寝てるはずや。なぁ、今日だけ一緒に眠らん?」


「…うん」


「じゃ、ベッド使ってや」

「ダメだよ、風邪ひいちゃうよ」

柚が風邪ひいたら、俺はマジで死ぬんや。オカンに殺される。