君に花を。

しばらくすると、切れた。

やっと切れた。と思うと、また兄貴からだった。

またシカトしていると、またまた兄貴から。

ブチッと何かが切れた。

「なんやねん、どあほっ!」

『ご、ごめんねっ』

…ん?今の声って柚!?

「柚か?」

『うん、蓮君…あの』

俺の名前を呼んでから、言葉に詰まった柚。

『また明日、バイト…来る?』

バイト…。

きっと兄貴も来るだろう。
俺が柚を好きだとわかったかもしれない。

「わからん」

声が一段と低くなるのがわかった。兄貴を思い出すとムカムカする。

『わからんはないだろう。蓮』

「兄貴…」

柚と代わったんかい。

『今日、家に柚を連れて行く』

「好きにせぇ」

電話を切って、携帯を荒々しくバッグに入れた。