君に花を。

「蓮君…」

柚が呟く。俺はネクタイから手を離して家へと歩きだした。


なんや、カッコ悪く去ってしもうた。

あかん、俺…もうダメかも。

柚の目の前で…ヒデーこと言っちまった。柚、兄貴のこと好きやったのに。

「ははは…最悪や」

どんだけ俺、カッコ悪いねん。
携帯が震えてる。
電話かメールやな。

少しためらってから携帯をズボンのポッケから取り出した。


【兄貴】


…またか。何を言いたいねん、ホンマに。

しかも電話か。

シカトやシカト。ポッケに突っ込んでまた歩きだした。