君に花を。

「蓮!」

またか。
兄貴がうしろから追いかけてきた。

「…なんや」

「柚、心配してたぞ。いきなり帰るだなんて」

兄貴は昔からスポーツはダメだった。がり勉で、友達は少なかった。勉強だけできるやつだった。

「帰る言うて悪いか」

「体調悪いか、何かあったか気になるだろう?」

「何もない。帰りたいから帰る。それだけや」

俺に何を言いたいねん。
ほっとけや。

俺は歩きだした。
これ以上、こんなやつとおれるかっ。

「柚のこと好きなのか?」

俺はピタッと止まった。

「…」

「好き…か」

「何も言ってないやろ。勝手に決めんなや」

吐き捨てるように言った。