【完】アップルパイ。~天国ノ君へ~


気が付くと時計の針は夜の1時をさしていた



「明日の朝も早いから寝るね」



「おやすみなさい、愛」



「おやすみ、父さん、母さん」



「おやすみ、愛…お前」



「何?父さん」



「…いやなんでもない」



あたしはそれ以上何も言わずにベッドに入った



ベッドに入ったとたん思い出した矢野さんの顔



「…明日来てくれるかな」



あたしはふとそう呟いた



「…何言ってんだろ。あたし」



まるで「恋」のように思えた



「…まさかね」



「恋」じゃない。



大丈夫だ



「恋」じゃない…



あたしの心の中には拓海の顔が思い浮かんだ