【完】アップルパイ。~天国ノ君へ~


「でも、いつも寂しかった。仕事にも子育てにも疲れて…そんなときに祐樹に出会ったの。」



あたしは窓から見える月を見つめた



「最初はほんの興味本位だった。でも、いつも祐樹は真っ直ぐにあたしを見つめてくれたから…それが少し拓海に重なったの」



あたしは微笑みながら話した



「でも、絶対に拓海の代わりになんてしたくなかった。拓海にも祐樹にも悪いと思ったから…そんな事を思いながら何度も祐樹と会ったりしたの。」



「先輩…」



桜は大粒の涙を目から流し月の光でキラキラと輝いていた



「この前遊園地にいったの。その時にたまたま祐樹を見かけたの。その時に祐樹は…女の人と歩いてた」



あたしはその場面を思い出し涙が出てきた



「その時に初めて祐樹のことが好きだって気が付いたの」



ずっと拓海と祐樹の顔が離れなかった



でも、拓海はあたしに好きな人が出来たら喜んでくれるって思った



それはお互いが誰よりも相手の幸せを望んだ。



「…」



桜はどう声をかけたら分からない、という状況だ



「伝えるのか?」



大ちゃんはグラスを傾けながらあたしに聞いてきた



「…伝えようと思う。でも、もし彼女がいたら…」