思わず足が止まってしまった。

桜は…

“今離れたら会えるか分からないよ”

そう言っている気がした。


次…行くか。





カタン――

静かな住宅街に響く、ポストに手紙を入れた音。



俺は誰にも聞こえない声で、

「愛してる。だから…さよなら」


そう言った。


…家、戻るか。




名残惜しい気持ちを封じ込め、明菜の部屋へ飛び込みたいのを抑え、俺は愛する人の家を後にした――