入学式の次の日の朝の事。


『拓…今日よ?出発するのは…』


「分かってる。」


俺は二通の手紙をお袋に向かってちらつかせ、

「ちょっと出掛けてくるー」

と言って家を出た。


どうせ家にいたって何もない部屋なんだからつまんないしなー(笑)


まずは鈴花ん家か。



カタン――

手紙をポストへと入れる。


っ……泣くな俺!


よし、次……だ…!?


ザァッ―――


明菜ん家に行こうと顔を上げると


綺麗な並木道の桜が風に舞っていた―――


今、桜は満開なんだ。



綺麗。それしか出てこない位に美しかった。