(…もう少しで終わる…)

クローゼットの隅を這いつくばって最後の荷物整理をしていた時だった。

(あっ)

アルバムの間から懐かしい写真が1枚滑り落ちてきた。

写真を拾い上げ、懐かしさに目を細める。

窓際に立つと、少し汗ばんだ肌を春の風が心地よく吹き抜けた。

(…懐かしい…)

霞みのかかる空を、風に頬を撫でられながら見上げる。