「はい。鉛筆おいてー」

先生の掛け声と同時に嘆く声や緊張感から解放された声が、あちこちから聞こえてきた。

「優美!?」

後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

振り返ると見覚えのある顔がそこにはあった。

「え!?直子?わぁー久しぶりー!」

私たちは抱き合って再会を喜んだ。

直子は小学生の時の同級生だ。
中学が離れてからは、お互い連絡を取ることもなかった。
小学校を卒業してから初めての再会だった。

「優美が教室に入ってきた時、すぐにわかったよ。優美のドジは治ってないみたいだね(笑)遅刻しそうだったんでしょ?」
直子はクスッと笑った。

「まーね。。合格したらまた同じ学校だね!受かってるといいけど。。でも何で直子がこの学校に?」

私にはとても不思議だった。なぜなら、直子はレベルの高い中学に合格したために、私と別の中学に行くことになったのだから。

「うーん。まぁ、それには色々事情があってね。。」
直子は顔を赤らめていた。
「なに?どうしたの?」

「実は、好きな人を追いかけてきたんだ。」
そう言うと、直子は頭を掻いた。

「そんな理由でエスカレータで行ける高校に行かずにここ受験したの?信じらんない!」

私には理解できなかった。
「でもまぁ、直子とまた同じ高校に行けるかもと思うと嬉しいけどね!」

そう言いながら、そんなにいい男なのか興味が湧いた。

「で、何で好きになったの?」
直子の顔が真っ赤になった。
「実は、中学の時にバドミントン部で、練習試合で彼の中学と戦ったの。彼もバドミントン部で、その時に一目惚れしちゃったってわけ。」

直子は終始ニタニタしていた。
恋愛経験の少ない私には、そんな直子が少しうらやましく感じた。

「で、告白したの?」

「出来る訳ないよぉ。まだ話だってそんなにした事ないのに。。だから、彼がこの高校受験するって聞いてここに行く事に決めたの。」

「いーよねー。直子は絶対合格してるもん。私はどうだかなぁ。。でも、彼が落ちてたらどうするのー?」

そう言って私は少し直子をからかった。

「もう!!大丈夫だって信じてるもん!」

「あーそーですか。もし見かけたらどの人か教えてね!!」