そして、私と直子は弓道部に入部する事になった。

毎日、構えの練習ばかりだった。

同じ部活で、同じクラスなのに遠藤春が話しかけてくる事はなかった。

「ねぇ、優美ちゃん何組?」
練習をしている最中に赤井くんが話しかけてきた。

「私?三組だけど。。」

「ふーん。俺、一組。彼氏いんの?」

「は?」
私はキョトンとしていた。
「彼氏いるのか聞いてんの(笑)」

「いないけど。。」

「あっそ。じゃ俺頑張ろうかな(笑)」

「へ!?」
何、この人。。顔はタイプだけど、すごい軽いやつじゃん!!

「はぁ、私に関わる男はなんで変わり者ばっかりなんだろ。。」

先輩の作った練習メニューをこなし、そろそろ帰ろうか。と言う時に顧問の小田先生が弓道場にやってきた。

男の先生でサッカー部と掛け持ちのため、弓道部に顔を出すことは少ない。

「おー、頑張ってるかぁ?あんまり、顔出せなくてごめんなぁ。」
先生は頭を掻きながら申し訳なさそうに頭を下げた。
「ほんとですよー先生。」

早紀先輩がため息混じりの声を出した。

「弓道部は、松下に安心してまかせてるからな(笑)」
「もう、先生!」
早紀先輩は先生をジロッと見ていた。

「それでだがー、新入生も入部してきた事だし、合宿を含めた歓迎会を今度の土日に一泊二日で実施しようと思う。どうだ?」

「確かに、新入生と交流を深めるいい機会になると思います。」
早紀先輩が応えた。

「よし!!1週間後の土日に近くのキャンプ場に行くぞ。特別な用事がない限りは強制参加だ!」

「はーい!!」
みんな一斉に返事をした。
部活の帰り、もう外は暗くなっていた。
今日直子は家の用事で部活に出なかった。1人で帰るのは初めてだ。
三年坂を降りて、駐輪場に着くと、遠藤春が自転車に乗ろうとしていた。

「ぷっ!」
私は吹き出してしまった。
その声に遠藤春が振り向いた。