「はは。ははは(笑)」

チラッと周りを見渡すと、笑っていないのは、遠藤春だけだった。

入学式とクラスの顔合わせが終わり、私は直子と一緒に帰ろうと靴箱で直子を待っていた。

ガタン!

靴を入れた音がした。
振り向くと、そこには遠藤春がいた。

私は目を合わせないようにした。

「おい。お前、なにもんだ。」

「え?」

遠藤春の方から私に話かけてきた。

「何者って。。普通の人間ですけど!!」

「おい。お前、俺の事どこまで知ってるんだ?」
遠藤春は、じっと私を見てきた。

「何も知らないわよ!ただ知ってるのは、その背中の羽だけ!あっ。。」
私はハッとして、口を塞いだ。

「やっぱりお前見えてるんだな。この事、誰かに話したら、ただじゃおかねぇからな。」

「なに?その態度!!言わないわよ!!言ったところで誰も信じないし!」

遠藤春は、無言で帰って言った。

「なんなの!?あいつ、あれでも天使なの!?あー!むかつく!!」

「優美。。どーしたの?1人でブツブツ言っちゃって。」

気付くと後ろに直子が立っていた。キョトンした顔をしている。

「な、なんでもないよ(笑)ただあまりいいクラスじゃないなって思っただけ!」

「ふーん。私はうらやましいなぁ。春くんと同じクラスだし。」

もう!!今あいつの名前聞きたくないよ。。
直子はどこがよくて好きになったんだろう。。

直子と途中で別れ、私はこれからの高校生活が不安になった。そして、なぜか胸騒ぎがした。。

今日は本当に最悪な入学式だった。

明日からどんな顔して登校したらいいんだろう。

そして、遠藤春とどうやって関わればいいのだろう。っていうか、関わりたくない。。

家に帰ると、お母さんがまた電話をしているみたいだった。

「また電話?最近多くない?」

母の部屋が少し開いている。
そっと覗くと部屋の隅でヒソヒソと話をしていた。

「なんの話してんだろう??」
耳を傾けた。

「遠藤春。早急に調べてくれない?娘と同じ高校なの。あぶないわ。。お願いね。」

なに?なんなの!?
なんだか、聞いてはいけない話を聞いたような気がして、私は自分の部屋に入った。