「私は、羽のついた人を見た事はないですけど、あなたが嘘をついてるとは思いませんよ。きっと、そんな力があるという事はなにかしらの理由があるのではないでしょうか。」
伏せていた顔をあげると、神父さんは変わらない笑顔だった。

なんでだろう。やっと人に話せた解放感と、信じてもらえてる嬉しさが重なり、涙が出てきた。

「参考になるかはわかりませんが、、。」

そう言うと神父さんは奥の部屋に消えた。
数分経って、神父さんが戻ってきた。

「とても古い本なのですが、天使についてとても興味深い事が書いてありますので、お貸ししますよ。」

表紙の古びた辞書のように分厚い本だった。

「ありがとうございます。」
神父さんから本を受け取ると大事に胸に抱いた。

「なんだか、話聞いてもらえてスッキリしました。本、読んだらまた返しにきます。」
そう言っておじぎをした。
「神のご加護がありますように。」
神父さんがまた優しい笑顔をくれた。

本を胸に抱いたまま私は家に帰った。

早々に夕御飯を食べると、私は部屋に引きこもった。
机の真ん中に本を置いて読み始めた。

こんな分厚い本は今まで読んだことがない。

初めの方にはキリスト教についての話が載っていた。
後になってくるにつれて天使の話になってきた。

そして興味深い記事があった。

「天使を見たと世界各地で報告がある。しかし、どれも立証できるものはない。」

「はぁ、やっぱりねー。」

「天使と会話した人の話によると、天使は修行の一つとして、人間界で一緒に暮らすことがある。と述べている。。」

あの人も修業の一貫としてここにいるのだろうか。

「ふぅ。参考にはなったけど、まだまだ調べる必要ありだねぇ。」

そのままベッドに横になるといつのまにか朝になっていた。

この世に天使がいるなんて今でも信じられない。
私自身がおかしくなってしまったのかもしれない。
高校に入学してしまえば、嫌でも、あの人を見る事になる。
でも、逆に毎日観察出来ると言うことだ。

話だって出来るようになるかも。。

そんな事ばかり考えていた。

そして、入学式を迎えた。