あー、神様!

私は何て運がないんだろう。
大事な時にドジばっかり。
私、本多優美。今、まさに最大のピンチを迎えている。

高校受験の朝、まさかこんなに走るはめになるとは。。

そう。高校受験の本日。寝坊したのだ。

私の受験する高校は桜並木の坂を登った所にある。
春は桜が満開できれいだが、結構急な坂で上り終えた時にはもうヘトヘトである。
その坂を三年間通う事から、桜三年坂といつからか、呼ばれるようになったらしい。

その坂を受験当日、全速力で走るはめになろうとは思ってもみなかった。

でも、今となってみれば、あの時諦めずに走っていて良かった。

あんなに大切な出来事が私を待っていたのだから。


「はぁ、はぁ。。良かったぁ。間に合ったぁ。」

私が受験する部屋に入った時にはすでに皆緊張した面持ちで、席に座っていた。
ギリギリで入ってきた私に目もくれずに参考書を見ている人もいる。

私はソロリソロリと自分の席に座った。


私が席に座ったのと同時に監視の先生の受験についての長い話がはじまった。

話を聞いてるうちに走っていかいた汗も冷え、火照っていた身体は緊張でむしろ冷たくなっていた。

「はぁ、とにかく今まで頑張ってきたんだもん。後は出し切るだけ。」
緊張で冷えた手をぐっと握った。

「はじめ!」

監視の先生の掛け声で、試験がスタートした。