それぞれがいろんな想いを抱いてここに集まった。
己の強さを求める者、身内の仇を討とうしている者……、

俺は――。

トライアウトを受けたのは軽い気持ちだった。
受かればいいなってそれぐらいしか思ってなかったから。
ソニアが『気に入らない』って言うのも今じゃ理解できる気がする。

こんな中途半端な気持ちで『キサラギ』に居る自分が情けない。


「何を考えている?」

二日目は昨日の初めましてモードとは違い、空気もなんとなくピリピリしているのが分かる。因みに今、俺たちは研修の真っ最中。
どうやらあの鬼教官に目を付けられたようだ。

「あっ……いや、別に」

「それならいいんだが。今日から早速、実践研修に入るぞ」

実践研修……?

「お前ら新人にも一台ずつ『ダーク』を与える。まだ上手く操作はできないと思うが少しずつ慣れてもらうたい」

「「はいっ!!」」

俺たちはこれを操作するために集められたと言っても過言ではない。
ディラの話ではさほど操作は難しくないと言っていたが……。
まぁ、ディラのことだからなぁ……、優秀なヤツからすれば、これは簡単なことなのかもしれない。それくらいは俺だって承知している。

「いいか、一つだけお前達にコツを教えてやる。それは――『ダーク』と気持ちを一つにすること……それができるようになれば簡単にヤツを操ることができるハズだ」

……とは言ってもなぁ。
言うは易し行うは難しって言葉を知ってますか?って聞きたくもなるってもんだぜ。

「まずはソニアとニールお前たち二人から乗って軽く対戦してみるか。今は練習モードだから実際に弾は出たりしないが、中のモニターは爆発音や振動が出るようになっている。手加減はなしだ」

「もちんです」

彼女はいつになく真剣な瞳をしている。
俺だっていくら練習と言っても負ける気はしなかった。
いや、寧ろ勝ってソニアを見返してやろうと思っていたから。