『俺が幸せにしてやるのにって…』 「千秋…」 私は、千秋に何も言えなかった。 言葉がぜんぜん出てこなかった。 『ねぇ、奈子。 俺には奈子のココロの中に入る可能性もないの?』 知らなかった、千秋の気持ち。 それにまた涙が出た。 『俺、おかしくなりそうだ。 奈子が好きすぎて、余裕なくなって おかしくなる』 “俺をそんな風にさせるのは奈子だけだよ” そう言って千秋は、 悲しそうに笑って、私の首元に顔を埋めた。 .