それからしばらく千秋は私を抱きしめたままだった。 私には、千秋を抱きしめ返すことも出来なくて、 すごくもどかしくて仕方がなかった。 『………ね』 「へ?」 『…やっぱり、抱きしめ返してくれないよね』 ボソリと千秋の口から出た言葉は あまりにも予想外で、 ただただビックリすることしか出来なくて 言葉が出てこなかった。 .