「本当にごめん…翠央。」

そう言うと、匠先輩は体をスッと私から離す。


そして、クルッと私に背を向けるようにして立った。


「……匠先輩?」


急に抱きしめられていた温もりから解放された私は、小さな声で先輩を呼んだ。



「今日は……もう帰った方がいいよ…。雨も降ってきたからな……。早く帰って休んだ方がいい…。」


「えっ……?」


優しい声だけど…胸が締め付けられるように痛くなる。


もしかして、匠先輩…
私のこと…嫌いになっちゃったのかな……?