「彼女と別れたって言ってたけど、それって…お前がちゃんと離さないようにしてなかったからじゃねぇの?別れた理由って、本当に俺だけが原因か?」


止めていた拳を突き放すと、沖依君は黙り込んでしまった。


……っていうことは、他にも理由があったの…?



「ったく……本っ当に嫌な奴だな、アンタ。なんでアンタみたいな人の彼女が七瀬先輩なのかが分からねぇよ。」


返す言葉に困ってしまったのか、沖依君は髪の毛をクシャッとさせた。



「もう用が終わったなら早く出ていけよ。お前だって、いつまでも俺の顔なんて見ていたくねぇだろ?」


匠先輩の低い声が響くと、沖依君は一度睨んでから教室の出入口までムスッとした表情で歩いて行く。


そして、教室を出ていく直前、私をチラッと見た。