「う…裏切る……?」
それって、どういう意味?
「“付き合え”って言っても、俺も来週には転校することになっていますし、七瀬先輩だって、そんな気は全くないこと分かってますから……」
沖依君は親指で私の唇をスッとなぞった。
「相沢先輩が大切に想っている、あなたの唇…奪わせてもらおうかな…。七瀬先輩から俺に…キスしてくれたら、鍵を返します…。」
そう言って、鍵を私の前で揺らした後、ポケットへとしまい込んだ。
私からキスなんて……
出来ないよ…。
大好きな匠先輩から、たくさんキスをしてもらった唇を……
他の人に重ねたくなんかない…。


