ふと私は携帯の画面を開いた。


あれから…
沖依君に鍵を持っていかれちゃった、あの夜から…


匠先輩は、よく電話をしてくるようになった。


会える時間が少ないから…私の声…もっと聞きたいって言って、少し会話をするんだ…。


クッキーのことを聞かれた時は心臓がバクバクした…。


鋭い匠先輩だから、クッキーの入った紙袋を床に落としたままで帰ったこと…


何か不思議に思うかなぁ…って思ったんだよね…。


何とか精一杯、嘘ついたけど…携帯を握る手も、そして心も…震えていた。