「心配で……翠央の傍から離れられねぇよ。」


先輩の吐息が私の髪の毛を揺らす。


「ご…ごめんなさい、あの…もしかして先輩、私があまりにも腑甲斐ないから進路を近くの大学にしたんですか…?」


「腑甲斐ないって……、なんか翠央…解釈違ってねぇか?」


匠先輩はフッと笑った。



「俺が学びたいって思うものが、ある大学だから選んだんだ…。それがたまたま隣町の大学だったんだよ。翠央のことは、心配だけど…ちゃんと進路は自分が納得のいく場所を選んだから…、だから謝らなくていいんだからな?」



頭を撫でられて、私はコクンと小さく頷いた。