「いい感じに撮れたな。」

えっ、これがですか…!?
どうみたって、直ぐにでも消したいくらいなんですけど……。


「こういうのってさ…俺と翠央の大切な思い出になるじゃん?」


その言葉に、私はデジカメの画面から先輩の顔へと視線を上げた。


思い出かぁ……
今…、この匠先輩の笑顔で写っている写真を消したりしたら、きっと…後悔しそうだよね…。


………。



私の顔は目を覆いたくなるほど恥ずかしく写っているけど、匠先輩はいつも私が見てるカッコいい先輩そのものだから…



いっか……
やっぱり、この写真をお母さんに送ろう…。



初めてのデートで撮った大切な写真を…。