なんだか呼吸が苦しくて、大きく息を吸い込む私を見ると、匠先輩は優しく後頭部に手を添える。


ゆっくりと抱き起こされた私は、そのまま先輩の胸の中にスッポリと包み込まれてしまった。


甘い香りに心をくすぐられながら、時間が流れていく。


「せ……先輩?」


「ん?」


「あ…あの……どう言ったらいいのか分からないんですけど……や…妬かせるようなこと…してしまって、ごめんなさい…。」


そう言って匠先輩を見ると、ちょっと照れているような…そんな表情を見せた後、ニッと笑った。


「これだから…、ハマらずにはいられねぇんだよな。翠央には…。」



キョトンとする私を匠先輩はギュッと強く抱きしめた。